SIerを辞めたい。SEを3年で辞めた私が「正直、会社を変えても残る」と思う悩みと、辞めれば軽くなる悩みを4つに分けた
上から降ってくる仕様、客先の顔色、動かせない納期。SIerで働いていて、もう辞めたい。けれど、辞めたら何が変わるのかは見えない。
その「SIerを辞めたい」は、階層・客先・納期・コードそのものの4つに分けられます。辞めて軽くなりやすいのは階層と客先。納期は行き先しだいで、コードそのもののつらさはSIerを出ても残ります。
私は大手の会社でSEを3年やって、コンサルに移りました。4つ目の人間です。
目次
SIerを辞めたい理由を、4つに分ける【結論】
| しんどさの正体 | SIerを出ると |
|---|---|
| 階層(下請けの位置で金額と裁量が決まる) | 軽くなりやすい |
| 客先(常駐する、間に挟まれる) | 軽くなりやすい |
| 納期(山場の残業と休日出勤) | 行き先しだい |
| コードとエラーそのもの | 残る |
階層と客先のしんどさは、私の体験としては書きません。公的な資料で確かめた分だけです。
階層のしんどさは、公正取引委員会が調べている
公正取引委員会は2022年6月、ソフトウェア業の下請取引を調べた報告書を出しました。資本金3億円以下の2万1,000社にアンケートを頼み、4,739社が答えています。
報告書によると、一定の規模を超える開発では、下請けが何層にも重なる形ができあがっています。個人で働いていたときに6次下請の末端で参加した、という声まで載っていました。お金についてはこう書いてあります。再委託のたびに中間マージンが引かれるので、下の層ほど受注金額は「低くならざるを得ない」。
実際には何の業務もしないのに利益を上げる「中抜き」の会社についても聞いています。いると感じたことがある会社は、中間下請で29.2%、最終下請で33.5%。下の階層ほど多いんですよね。
給料が上がらない、何も決めさせてもらえない。その原因が会社の位置にあるなら、あなたの腕の問題ではないです。
ただ、これは会社に聞いた調査です。働く人に「なぜ辞めたいか」を聞いたものではありません。資本金3億円を超える大手も、アンケートの相手に入っていません。
客先と納期は、国の職業説明にも出てくる
厚生労働省のjob tagは、受託開発のSEの勤務先を「SIer(システムベンダー)、コンピュータメーカーなど」と書き、顧客の事業所で働く場合もあるとしています。納期が迫ると忙しく、休日や夜間に仕事をすることもある、とも。
客先のしんどさは、自分の会社のシステムを見る仕事に移れば軽くなりやすいです。常駐先で先に確かめることは「客先常駐を辞めたいとき」に書きました。
納期は違います。job tagの月の労働時間は、受託開発のSEが159時間、社内SEに近い運用・管理(IT)が160時間。平均では差がありません。山場のきつさは平均に出ないとしても、移れば時間が楽になるとは私には言えないです。
私のしんどさは、4つ目だった
私は文系で、ITの知識が無いままSEになりました。小さなプログラムなら分かるんです。業務のコードになると、どこで何が動いているのか追えなくなる。エラーが出ても、見る場所の見当がつきませんでした。
3年やって、読むほうはなんとなくできるようになりました。書くほうは、一人ではどうにもならないまま。最後はコードやエラーを見るだけで拒絶反応が出て、それで辞めると決めています。
今の私が上の表に当てはめるなら、4行目です。移った先はコンサルでした。働き方も能力もハードな印象があって、不安でした。それでも先々お金が要ることを考えて、移りました。
移った先にも、階層はありました。
半年の待機のあとに入ったプロジェクトは、有名な大手外資系コンサルの二次受け。中身はITの運用と開発です。決まってほっとしたのと、「また開発か」と思ったのと、両方ありました。
二次受けという位置は、コンサルに移ってもありました。会社を選ばないと、コンサルでも派遣会社のような働き方になりうる。これは私の考えです。
SIerを出なくていい人と、社内SEを見ていい人
まだ出なくていい人
- 異動や現場替えを、まだ一度も相談していない人
- つらいのが今の案件の山場だけの人。job tagにも、山を過ぎたところでまとまった休みを取ることが「よく行われている」とあります
- しんどいのが今の現場の人間関係だけの人。現場が替われば、変わるかもしれません
出ても楽にならない人
4行目の人、昔の私です。job tagの運用・管理(IT)の説明には、障害からの復旧やログの監視が出てきます。社内SEに移っても、そこは付いてきます。ITから少し離れる道は「SEに向いてないと思ったときの3つの分け方」に並べました。
新しい技術で作り続けたい人も、社内SEだと物足りなくなりそうです。
客先と階層がしんどい人には、社内SEの席がある
1行目と2行目の人は、社内SEを見ていいと思います。自分の会社のシステムを、自分の会社の人と見る仕事です。発注する側に回ることが多いので、下請けの層からは外れやすいです。親会社のシステムを請け負う子会社のような形だと、話が変わります。
ただし席は少ないです。理由は「社内SEへの転職は難しい?」に書きました。求人を探すなら、社内SEに絞った転職サービスが早い。1つ置きます。
私はこのサービスを使っていません。使い心地は書けないです。
それと、このブログが紹介して報酬を受け取る条件では、次の人は対象外になっています。
- エンジニア未経験の人
- 45歳以上の人
- エンジニア以外の職種の人
- 時短勤務を希望する人
- 療養中の人
当てはまる人には、この広告はすすめません。療養中なら、転職より休むほうが先です。
辞める前に、10分でやれること
- 今週いちばんしんどかった場面を1つ書いて、上の表の4行のどれかに当てる
- 自分の会社が、今の案件で上から何番目にいるのかを上司か営業に聞く。元請か、二次か、その下か
- job tagの「システムエンジニア(受託開発)」で「労働条件の特徴」だけ読む。2分です
SIerを辞めたい人から、聞かれそうな質問
SIerが「やめとけ」と言われるのはなぜ?
下請けの層が重なる形のせいだと私は読みました。公正取引委員会の報告書には、下の層ほど金額が低くなること、仕様の変更が下へ無償で回されることが出てきます。どのSIerもそうだという話ではなく、会社の位置で変わります。
SIerの離職率は高い?
SIerだけの離職率は、公的な統計では見つけられませんでした。近いのは情報通信業の数字で、令和6年の離職率は10.2%。全部の産業の14.2%より低いです。通信や放送の会社も入った数字なので、目安として見てください。
SIerを辞めた人は、どこへ行く?
行き先をまとめた公式の数字も、私は見つけられていません。job tagには、SEのその先として、プロジェクトマネージャ、特定の分野のスペシャリスト、IT分野のコンサルタントのような仕事が挙がっています。私は3つ目でした。
私ならこうする
もう一度SEの3年目に戻るなら、求人サイトを開く前に、表の4行のどこに自分がいるかを決めます。1行目か2行目なら社内SEの求人を見る。3行目なら、今の山場が終わるまで待ってから考え直す。4行目なら、コードを書かない仕事を調べます。
SIerというよりSEの仕事そのものを辞めたい人には、「SEを辞めたいとき」があります。辞めた人の理由を公式の数字で並べました。
退職の時期やお金の判断は、公式の案内や専門家にも確かめてください。
今日やるなら、「うちは何次請けですか」と1回聞くこと。
あなたのしんどさは、何行目ですか。
出典:
- 公正取引委員会 ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書(令和4年6月)(第1部の調査方法、第2部「多重下請構造」、第3部「多重下請構造から生じ得る問題点」「『中抜き』事業者の存在」。2026年10月6日に確認)
- 公正取引委員会 同報告書の公表ページ(2026年10月6日に確認)
- 厚生労働省job tagシステムエンジニア(受託開発)(労働時間は令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工したもの。2026年10月6日に確認)
- 厚生労働省job tag運用・管理(IT)(同上)
- 厚生労働省 令和6年雇用動向調査結果の概要2産業別の入職と離職(表4-2。2026年10月6日に確認)