SEを辞めたい。3年で辞めた私は「正直、仕事そのものが合わなかった」。辞めた人の理由を公式の数字で見たら、そっちは少数派だった
SEを辞めたい。なのに「なんで?」と聞かれると、うまく言えない。給料なのか、残業なのか、仕事そのものなのか。自分でも混ざっている。
そういうとき、ほかの人が何で辞めたのかを見ると、少し整理がつきます。
公式の調査では、辞めた理由で多いのは給料・労働時間・人間関係といった「条件」のほう。仕事の中身が理由の人は、1割に届きません。どちらの「辞めたい」かで、次にやることが変わります。
目次
辞めた人は、何が理由だったのか【結論】
多いのは、給料・労働時間・人間関係
厚生労働省の雇用動向調査(令和6年)に、転職した人が前の仕事を辞めた理由が出ています。原文のPDFから、仕事に関係する理由を抜き出しました。
| 前の仕事を辞めた理由 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 給料など収入が少なかった | 10.1% | 8.3% |
| 労働時間・休日などの条件が悪かった | 8.6% | 12.8% |
| 職場の人間関係が好ましくなかった | 9.0% | 11.7% |
| 会社の将来が不安だった | 7.4% | 5.1% |
| 仕事の内容に興味を持てなかった | 4.4% | 3.6% |
| 能力・個性・資格を生かせなかった | 3.8% | 3.7% |
上の4行が、会社や職場の「条件」。下の2行が、仕事の「中身」です。
中身の2行を足すと、男性8.2%、女性7.3%。条件の4行を足すと男性35.1%、女性37.9%なので、4倍以上の開きがあります。
表に入れなかった理由もあります。いちばん多いのは「その他の個人的理由」で、男性20.2%、女性24.3%。定年や契約の満了、結婚、育児なども別にあります。
20代後半の男性は、給料が16.9%
年齢別にも出ています。25〜29歳だけ見ると、こうでした。
- 男性:給料16.9%、人間関係11.5%、労働時間などの条件9.8%
- 女性:労働時間などの条件15.2%、人間関係14.0%、給料7.9%
20代後半は、条件で辞める人が全体よりさらに多いです。
この表で分からないこと
これは全部の職種の数字です。この調査に、SEだけを取り出した表はありません。
それと、答えているのは「転職して次の会社に入った人」。辞めたいまま残っている人の気持ちは、入っていないんですよね。なので「SEはこうだ」とは言えません。自分の理由がどの行に近いかを見る、ものさしとして使ってください。
私の「辞めたい」は、少ないほうだった
私は文系です。ITの知識が無いまま、大手の会社にSEとして入りました。3年やって、辞めています。
何がしんどかったか。小さくて簡単なプログラムなら分かるのに、業務のコードになると、どこで何が起きているのか追えない。エラーが出ても、どこを見ればいいのかが分からない。Javaだけ覚えれば済む話でもありませんでした。
3年たって、コードはなんとなく読めるようにはなったんです。でも自分では書けない。そのうち、エラーやコードを見るだけで拒絶反応が出るようになりました。辞めると決めたきっかけは、これです。
さっきの表に当てはめるなら、いちばん近いのは下の2行。仕事の中身のほうです。足して1割に届かない、少ない側でした。
少ない側だと、何が困るか。転職の記事で目にする悩みは残業や給料が中心で、「コードが書けない」はあまり出てきません。自分の理由だけ小さく見えてしまう。でも表のとおり、少ないだけで、ちゃんといます。
今の私なら、中身のほうだと分かった時点で、会社を変える案を外します。SEのまま会社を移っても、同じようにコードが待っているからです。
「条件」か「中身」かで、次の一手が違う
条件がつらい人は、SEのまま場所を変える
給料、残業、人間関係、会社の先行き。このあたりが理由なら、SEの仕事は続けたまま、会社や現場を変える道があります。辞めた人の多くは、こっちです。
理由ごとに、先に確かめておきたいことを書いた記事があります。
- 残業と給料の関係は「固定残業代(みなし残業)をSEの求人で見たら」
- 給料は「SEの給料が低いと感じたら」
- 常駐先の現場がつらいなら「客先常駐を辞めたいとき」
中身がつらい人は、仕事の種類を変える
コードを書く、エラーを追う。これ自体がつらいなら、変えるのは会社ではなく仕事の種類です。
私の行き先はコンサルでした。道具がコードから資料に変わります。苦手だった3年も、無駄にはなりませんでした。ITのプロジェクトで、エンジニアの人たちの会話が少し分かる。仕様をのみこむのも早い。
ただ、コンサルが楽だという話ではないです。求められる能力は高いし、自分から動けるかがかなり大事になります。違いは「SEとITコンサルの違いは?」に並べました。
どっちか分からない人
混ざっていて当たり前です。きれいに分かれる人のほうが少ないはず。
分けるための問いは「SEに向いてないと思ったときの3つの分け方」に書いてあります。
まだ辞めなくていい人
- 理由が条件のほうで、社内の異動や現場替えをまだ一度も相談していない人
- 入って日が浅く、分からないのが悔しくて調べる気力はある人。3年くらいで少しずつ分かってくる、というのは私も感じました
- 辞めたあとの行き先が、1語も出てこない人
辞める前に、よく聞かれそうな質問
SEを辞めたいのは甘え?
甘えではないです。上の表のとおり、理由があって辞めた人が毎年これだけいます。私のように、仕事の中身が合わなくて辞めた人も、少ないけれどいます。
SEを辞めた人は、次に何の仕事をしている?
SEを辞めた人の行き先をまとめた公式の数字は、私は見つけられていません。分かっているのは1つだけ。厚生労働省のjob tagに、ITコンサルタントはITシステムの構築や運用の経験者が就くことが多い、と書いてあります。私もその道でした。
次を決めずに辞めても大丈夫?
お金の面は、制度を知っておくと落ち着きます。失業手当の待ち期間などは「仕事を辞めたいけど辞められないとき」に書きました。ただ、行き先が1語も無いまま辞めるのは、私はおすすめしません。
5分でできること
- 上の表の6行から、自分の理由に近いものを1つか2つ選ぶ。条件か中身か、横に書く
- 今週いちばんいやだった作業を1つ書く。それは会社が変われば無くなるか、SEでいる限り続くか
- 眠れない、朝起きられないが続いているなら、分ける前に休む。厚生労働省の「こころの耳」に相談窓口がまとまっています
私ならこうする
もう一度あのころに戻るなら、まず表の6行を紙に写して、自分の理由に丸をつけます。
丸が上の4行なら、求人を見ます。仕事はSEのままで、条件だけ違う会社を探す。丸が下の2行なら、会社探しはやめて、コードを書かない仕事を調べます。ここを先に分けておくと、見る求人がまるごと変わります。
退職の時期やお金の判断は、会社の規則や公式の案内でも確かめてください。
あなたの丸は、上の4行ですか。下の2行ですか。
出典:
- 厚生労働省 令和6年雇用動向調査結果の概要3転職入職者の状況(表5転職入職者が前職を辞めた理由別割合。2026年10月5日に確認)
- 厚生労働省job tag ITコンサルタント(2026年10月3日に確認)
- 厚生労働省 こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)