SEの残業時間の平均は月12時間。全体の平均は11時間。SEを3年やった私が、国の統計を年齢と会社の大きさで分けてみた
今日も帰りが遅い。帰りの電車で「SE残業時間 平均」と打つ。しんどいのは自分だけなのか、SEならこれが普通なのか。それが知りたくて。
先に答えです。国の統計では、SEにあたる職種の残業は月12時間。全部の仕事の平均は11時間なので、ほぼ同じでした。
「そんなわけない」と思った人。その感覚は、まちがっていないです。12時間が何を数えた数字なのか、どこまで信じていいのかを、順に書きます。
目次
【結論】SEの残業時間の平均は、月12時間
元は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査
令和7年の調査の、職種ごとの表(職種 第1表)をe-Statで開きました。
「SE」という名前の職種は、この表にありません。「SEの年収の平均」のときと同じく、いちばん近い「ソフトウェア作成者」の行を読みます。
- 残業にあたる「超過実労働時間数」:月12時間
- 会社が決めた時間の中で働いた「所定内実労働時間数」:月159時間
足すと月171時間。これは私の足し算です。
対象は、従業員10人以上の会社で、フルタイムにあたる人。男女の合計です。調べているのは6月の1か月分でした。
全部の仕事の平均は11時間。差は1時間だけ
同じ調査の、産業をまとめた表(産業計)では、残業は月11時間、決まった時間は162時間でした。情報通信業だけで見ても、残業は11時間です。
SEだけ飛びぬけて長い、という数字にはなっていません。同じ表でいちばん長いのは、営業用の大型トラックの運転者で33時間。建築技術者は17時間、看護師は6時間でした。
20代後半で倍になる。大きい会社ほど長い
年齢と、会社の大きさで分けた行も読みました。年齢別は同じ調査の第5表です。
| 分け方 | 残業(月) | 決まった時間(月) |
|---|---|---|
| SE全体 | 12時間 | 159時間 |
| 20〜24歳 | 7時間 | 158時間 |
| 25〜29歳 | 14時間 | 159時間 |
| 30〜34歳 | 13時間 | 161時間 |
| 35〜39歳 | 13時間 | 161時間 |
| 1,000人以上の会社 | 16時間 | 154時間 |
| 100〜999人 | 12時間 | 164時間 |
| 10〜99人 | 6時間 | 162時間 |
| 全部の仕事の平均 | 11時間 | 162時間 |
20〜24歳は7時間。25〜29歳で14時間と、倍になります。任される量が増えるからなのか。理由はこの表に書いてありません。
会社の大きさでは、1,000人以上が16時間で、10〜99人の6時間より10時間長い。ただ、決まった時間のほうは大きい会社が154時間と短いんですよね。足すと170時間と168時間で、ほとんど変わりません。
残業だけ比べると、見えかたが変わる。表を作っていて、いちばん意外だったところです。
平均の12時間からは、分からないこと
「自分はもっと長い」という人のために、この数字の弱いところを並べます。
- 6月の1か月だけ。納期の前に山が来る現場でも、その山が6月でなければ入りません
- 平均だけ。月40時間を超える人が何割いるか、といった散らばりは、この表に出ていません
- 答えているのは会社の側。働く本人に聞いた数字ではないです。記録に残っていない時間がどう扱われているかは、私には分かりません
- 会社や現場ごとの差。社内SEか、客先に常駐しているか。そういう区分はありません
統計からは分からない、としか言えない部分です。「SEの残業は少ない」と言い切る材料にはなりません。使い道は、自分の数字を置く物差しです。
残業の上限は、月45時間・年360時間
もう1本の物差しが、法律の上限です。厚生労働省のページで確かめました。
- 原則は、月45時間・年360時間まで
- 特別な事情があるときも、年720時間以内
- そのときも、休日の労働を入れて月100時間未満、複数の月の平均で80時間以内
- 月45時間を超えられるのは、年に6か月まで
大きい会社は2019年4月から、中小の会社は2020年4月からの決まりです。
1つ注意があります。統計の12時間は、会社が決めた始業と終業の外で働いた時間。上限のほうは、法律の1日8時間・週40時間を超えた分が基準です。ぴったり同じ物差しではありません。
求人票に「固定残業 ◯ 時間分」とあるときの読み方は、「固定残業代(みなし残業)をSEの求人で見たら」に書きました。
長い残業が続いて、眠れない、体がきつい。そういうときは数字を比べる前に、公式の案内や専門家にも確かめてください。
私のしんどさは、時間の長さではなかった
ここからは私の話です。
私は文系で、ITの知識がないまま、大手の会社にSEとして入りました。3年やっています。
私自身の残業が何時間だったかは、この記事には書きません。
書けるのは、何がしんどかったか。
小さくて簡単なものなら分かるのに、業務のソースコードになると迷子になる。エラーが出ても、どこを見ればいいのか分からない。Javaだけでは済まなくて、Gitも、DBも、Spring Frameworkも覚えないといけない。
振り返ると、私のしんどさは時間の長さより、分からないことの多さでした。最後はエラーやコードを見ると拒絶反応が出て、辞めると決めています。
だから今の私なら、「しんどい」を2つに分けて書きます。時間がしんどいのか。中身がしんどいのか。
時間のほうなら、会社や現場が変われば数字は動きます。中身のほうは、残業が月0時間になっても残ります。分け方は「SEを辞めたい」に、公式の数字と一緒に書きました。
コンサルに移ってからの話もしておきます。こちらは、ハードワークができることが大事な仕事です。
残業に厳しくて休みやすい、ホワイトなIT企業から移ると、休みづらさにかなりのギャップがあります。時間を減らしたくて移る先ではない、というのが私の実感です。
残業の数字だけで、動かなくていい人
- 自分の残業が月10時間台で、しんどい理由がほかにある人。変えるのは時間ではなさそうです
- 山が年に1〜2回で、終わりが見えている人
- 「社内SEなら少ないはず」と、数字を見ないまま考えている人。統計に区分がない話は「社内SEへの転職は難しい?」にも書きました
まず自分の数字を出す。やることは3つ
- 勤怠の記録から、直近3か月の残業を月ごとに書き出す。12時間と45時間の横に置く
- 会社の36協定を探す。残業をさせるための労使の取り決めで、月に何時間までと書いてあります。就業規則や労使協定は、掲示や備え付けなどで働く人に知らせることになっています。見当たらなければ、人事か総務に聞く
- 給与明細で、固定残業代が何時間分かを見る
SEの残業時間で、検索されている質問
SEの残業は何時間から多い?
公式に「ここから多い」という線は、見つかりませんでした。物差しは2つです。統計の平均が月12時間、法律の原則の上限が月45時間。自分の数字がどちらに近いかで考えるのが、いまできる比べ方です。
社内SEは残業が少ない?
公式の数字では、言えません。賃金構造基本統計調査の職種に、社内SEという区分がないからです。私も社内SEの経験はないです。求人票の残業時間と、面接での質問で確かめるしかありません。
残業なしのSEはいる?
平均が月12時間なので、それより短い人はいるはずです。ただ、0時間の人が何割かは、この表からは分かりません。10〜99人の会社の平均は月6時間でした。
私ならこうする
私なら、まず3か月分の残業を数えます。月45時間を超える月があるなら、36協定の中身を見る。12時間前後なのにしんどいなら、時間ではなく中身を疑います。私は後のほうでした。
私はSEを3年で辞めて、コンサルに移りました。移ってよかったです。給料も変わりました。
ただ、働く時間が楽になる道ではなかったので、残業を減らしたい人に同じ道はすすめません。SEのまま会社を変える手もあるし、SEではない業種に移る手もある。合うのがどれかは、しんどさが時間なのか中身なのかで変わります。
あなたの先月の残業は、12時間より上でしたか。下でしたか。
出典(すべて2026年10月8日に確認):
- e-Stat令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(第1表「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」と、第5表「職種(小分類)、年齢階級別…(産業計)」。「ソフトウェア作成者」・男女計の所定内実労働時間数と超過実労働時間数。2026年3月24日公開)
- e-Stat令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類(第1表「年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」の産業計と情報通信業。男女計・学歴計)
- 厚生労働省 賃金構造基本統計調査で使用されている主な用語の説明(所定内実労働時間数・超過実労働時間数の定義)
- 厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 調査の概要(調査の時期と対象)
- 厚生労働省 働き方改革特設サイト 時間外労働の上限規制
- 厚生労働省 確かめよう労働条件 労働時間の基本的ルール(法定労働時間と36協定)
- 栃木労働局 法令等の周知義務(労働基準法 第106条)